リハビリ勉強ノート⑫ 先行随伴性姿勢調節APAs
今日のリハビリ勉強ノートは
先行随伴性姿勢調節(APAs)について
まぽ (S-cait)さんによる写真ACからの写真
脳卒中のリハビリに携わる人であれば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
逆に言うと脳卒中リハに関わっていない人はリハビリ専門職でもあまり知らないかもしれません。
このブログでは一般の方でもリハビリに関することを、なるべく興味を持って読めるよう、なるべく簡単にして説明していきたいと思います。
そもそも姿勢調節(制御)って何というところからですが、平たく言えば倒れないように姿勢を保つための身体の活動(神経伝達を含む)といったところです。
運動=筋肉に力を入れる
という認識の方が多いと思いますが、
これは半分正解で半分間違いです。
座った状態で手を上げるという動作を例にあげて説明すると
必ず運動をしようとする意思が必要です。
まず頭の中で手を上げようと考えます。
その時意識には上がらないかもしれませんが、今自分の手がどういう位置にあって、どういう座り方をしてて、どんな風に上げようというような戦略が脳で作られます。
脳から必要な部位に神経伝達されて筋活動が起こります。
当然手を上げるための筋肉が働くのですが、おそらく皆さん意識しないかもしれませんが、前提として倒れないで手を上げようとすることでしょう。
手を上げるということは体の重心が変わるため、他の部位を動かしてバランスを取らないと必ず倒れてしまいます。
あまりイメージがつかない方はバランスボールの上に座って手を上げてみるとわかりやすいでしょう。
手を上げるだけでもいかにバランスをとらないといけないかが分かります。
それを勝手にやってくれる人間の脳ってすごいですね!
なので手を上げる前に前もって倒れないように体幹や足の筋肉にバランスをとるための信号が送られ働きます。
これを先行性姿勢調節といいます。
さらに運動中は手を上げるに従ってバランスが変化していくので、運動中も姿勢を倒れないように保つための命令が送られ姿勢を保つ筋肉が働きます。
これを随伴性姿勢調節といいます。
合わせて先行随伴性姿勢調節となります。
これは運動学習によって獲得されるもので、経験依存性で各個人によって異なるものです。
リハビリで動作を再獲得したり、スポーツでパフォーマンスを上げるためにはこの働きが欠かせません!!
手足を動かすときに崩れない主に体幹の筋力や柔軟性などの働き、自分の姿勢を感知できる感覚、そしてそれらを利用して運動前や運動に合わせて姿勢保持のために必要な修正ができる学習経験が必要ということです。
僕は市民ランナーなのでどうしてもランニングに結びつけてしまいますが、
・手足の動きに対して細かく体幹を変化させることのできる柔軟性(大きく動いてしまうとバランスを崩しやすく効率が悪い)を獲得
・視覚に頼らなくても姿勢が手足の位置、動き、接地時に入る足底の感覚などから分かるボディイメージ
参考までにボディイメージはこちらの記事から
・それらをマッチングできる練習
ができて初めて効率的なランニングフォームを身に着けられパフォーマンスを上げることができるということです。
脳卒中のリハビリだと感覚障害や学習機構の障害などもあり、病態からどのように日常生活の再獲得を目指すのかまで考える必要があり、より難易度が上がります。
一度日常生活の中で姿勢制御について考え見てください。
参考文献