理学療法士ランナーのラン&ワークブログ

40代子育て中おじさん理学療法士ランナーの練習日誌とサブ4を目指す初心者へのランニングに役立つリハビリの知識を中心とした日常の記録

リハビリ勉強ノート⑩ ボディスキーマとボディイメージ

リハビリ勉強ノートの記念すべき第10回🎉

リハビリの基本に立ち返り本日は脳機能の勉強をしていきたいと思います。

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acworksさんによる写真ACからの写真

 

理学療法士は協会に加入していれば何らかの専門領域に所属しています。

ランニングのブログを書き、ランニングに興味ない人からすれば月に100km以上走るなんて整形やスポーツのリハビリを専門にやっている人だろうと思われるかもしれませんが、実は僕は脳卒中の認定理学療法士です。

 せっかくなのでその専門性を生かしてちょっと違った視点から運動について考えていきたいと思います。

 

運動というと筋肉とか関節とかいうイメージがついて回りますが、実際に命令を出しているのはになります。

脳のことを知らなくてもトレーニングはできますが、より近道をして効率の良い運動学習や障害予防をしていきたいと考えられている方には、ぜひ興味を持っていただきたいです。

今日は細かい脳の部位や機能はなるべく省きつつ活動や行為、運動の前提となるボディスキーマとボディイメージを学びます。

 

ボディスキーマとは身体図式とも呼ばれヘッドとホームズにより提唱されました。

体性感覚と視覚の統合により成り、固有感覚(関節や筋肉などの位置や動きなどに関する感覚)によりつねに更新されるが意識にはのぼらない図式により姿勢の変化を認知でき、触覚による体表面の図式により体部位への刺激を定位できる。

ボディイメージはシルダーにより身体図式に加え、概念的で、経験や予測、思い込みから形成されると提唱された。

後者は意識にのぼるものであり、環境や精神的な影響が大きい。

動作の主体となる自己身体像はボディイメージによるものとされる。

 

・・・・簡単に説明したいが、自分に語彙力がなく、これ以上簡単に説明できない😖

 

少し難しいかもしれませんが、各種感覚が処理されて無意識に作られる身体の図式がボディスキーマで、これが感覚が変化するごとに新しく作り変えられるため、意識しなくても自分の姿勢が分かり、よそ見しながら歩いていてもそうそう何かにぶつかることもなければ、倒れることもありません。

これが意識に上るとき過去の記憶や経験、その時の情動などと合わさることでイメージ化されることになります。

 

ここで大切なことは一般的には運動をするとき、筋力を発揮することばかりに注意が向いてしまいますが、効率的な運動をするためには、その前提となる感覚が適切に得られていないといけないということです。

 

特に体性感覚!

 

試しに40㎝ぐらいの四角をテープを貼るなどして地面に書いて、その真ん中に真っすぐ立ってみてください。

そしてその場で下を見ずに10回足踏みしてみましょう。

 

・まず立った時点で

左右同じように体重がのっているでしょうか?

右足と左足の体重の乗っている部分は一緒でしょうか(内側外側、つま先側踵側)?

膝の曲がり具合は?

つま先は目で確認しなくてもそろっていて左右対称ですか?

肩の高さは左右一緒ですか?

頭はどちらかに傾いていませんか?

 

・足踏みをしてみて

同じ位置で足踏みが終わりましたか?

同じ向きを向いて終わりましたか?

 

最初に立った時点の姿勢があなたの真っすぐ立つというボディースキーマです。

質問したようなことが崩れていれば、あなたは感覚だけでは真っすぐたつことはできません。

 

頭でイメージしたり、自分の体を実際に目で見たり、鏡で確認したりして修正したら、

そのイメージがボディイメージです。

目で確認したりした時点でもうすでにボディイメージの修正が始まってきていますが、ボディスキーマがボディイメージと一致してこれば、その後運動はかなりスムーズなものとなるでしょう。

修正した姿勢がまっすぐだと感覚で感じられなければ、まだまだスキーマとイメージは一致していない状態です。

 

足踏みをした後はどうでしょうか?

足踏みを開始すると今度は固有感覚の処理のウエイトが大きくなります。動くと姿勢バランスもとらないといけないので足だけでなく全身のボディスキーマの影響が強くでます。

 

動くという課題をこなしながら、ボディイメージを構築するのは非常に課題として難易度が高いので、おそらく真っすぐ立つという課題がうまくできなかった方は足踏みの後の結果も最初に書いた四角の真ん中からずれていったり、どちらかの足が前にあったりするでしょう。

 

運動は意識して自分で動かしていると思われるでしょうが、動いたことにより入ってくる感覚を処理しながら最適な姿勢保持、筋力発揮ができるように行われています。

 

全力で走る時路面が違えば(アスファルトだったり砂浜だったり)実際は接地の時の力の入れ方もタイミングも違いますよね。

でも自分として感じるのはただ全力で足を動かしているだけなのです。

 

 

よってボディイメージを使って運動し続けるのは難しいため、多くの場合運動にはボディスキーマが影響します。(ボディスキーマを再構築していく過程でボディイメージは使えますが)

真っすぐだと思って左膝がknee-inして立っている人はおそらく長距離を走ればランナー膝になるでしょうし、左の接地でブレーキがかかっているでしょう。

 

スキーマを再構築していく第1歩はまず、感覚に注意を向けること。そこから自分の体どのような図式になっているのかイメージすること。そして感覚をより細かく感じて探っていき新たな学習経験していくことです。

 

それらを行っていくことでその後の練習やトレーニングによるパフォーマンス向上は格段によくなることでしょう。

 

本当に脳機能の根本的な部分をすっ飛ばして書いているので、もっと詳しく知りたい方は各種文献をお探しください。

参考までにこれは初学者には読みやすくて良いと思います。少し古いかな。

本日は長くなりましたがお付き合いいただきありがとうございました。