リハビリ勉強ノート24 新型コロナを正しく恐れよう!感染症について3
今回は季節性インフルエンザについて
前回までの記事はこちらから
疫学
インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染により生じる急性の気道炎症で、温帯地域において毎年秋から冬にかけて,広い範囲に散発性症例を引き起します。(季節的流行)。
季節性の流行はA型およびB型インフルエンザウイルスの両者によって引き起こされます。
季節性インフルエンザの大部分がH3N2(A型)によって引き起こされており、B型は、より軽度な疾患を起こしますが、そのシーズンの優勢なウイルスとして、あるいはA型との共感染により、中等症または重症疾患の流行を引き起こします。
病態
咽頭痛、のどの違和感などの症状に続いて、1日以内に発熱、悪寒、せき、鼻汁、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が急激に現れ、3~5日持続した後、次第に治癒します。
気管支炎や肺炎に進展することも多く、飛沫感染が主体で、潜伏期は1~2日と短くなっています。
予防と治療
予防はインフルエンザワクチンの毎年の接種が推奨されています。
治療は対症療法およびインフルエンザ治療薬があります。
インフルエンザ治療薬は発症後1~2日以内を投与すると、発熱期間、症状の重症度,および正常の活動に戻るまでの時間が減少します。
抗ウイルス薬による治療は、インフルエンザ様症状を発症している高リスク患者に推奨されています。
これは早期治療がこれらの患者の合併症を予防しうることを示唆するデータに基づいて推奨されています。
ここまでは
MSDマニュアルプロフェッショナル版
からでした。
患者発生状況
2018/19シーズン
累積推計受診者数:約1,200万人
超過死亡:約3,400人
入院患者報告数:20389人
これは
IASR 40(11), 2019【特集】インフルエンザ 2018/19シーズン
からです。
統計をどう捉えるか?新型コロナと比較できるのか?
ここで注意すべきは受診者数、超過死亡数とも実数ではないとうことです。
累積推計受診者数は全国約 5,000 か所のインフルエンザ定点医療機関の報告を元に全医療機関の受診者数を推計したものです。
超過死亡率はもう少し複雑で、
以下抜粋ですが、
原死因をインフルエンザとすると、インフルエンザから二次性の細菌性肺炎を続発して死亡に至った事例は含まれなくなり、死亡統計上の「インフルエンザによる死亡数」は、インフルエンザの影響を表現する上で適切ではない。一方、原死因を肺炎とすると、インフルエンザとはまったく関係のない病原体による肺炎死亡も含むこととなる。このように、インパクトを測る上で、単一の最適な指標が無いのが実情である。
これらの諸問題を是正するために世界保健機関(WHO)は、「超過死亡(excess death, excess mortality)」という概念を提唱している1)。超過死亡とは、インフルエンザが流行したことによって、インフルエンザ・肺炎死亡がどの程度増加したかを示す、推定値である。
となっています。
これは病名という問題が深くかかわっています。
病院に搬送され早期に亡くなった方はインフルエンザの検査は一般には行われません。
感染症は検査しなければ診断できないわけで、最近の新型コロナウイルスでも問題になりましたが、結局は感染症の正確な発生状況の把握というものは難しいと言わざるをえません。
今回は本邦のデータですが調査や統計の方法は国ごとに違いこれまた比較を難しくしています。
結局は新型コロナウイルスは他の呼吸器疾患感染症と比較して、より脅威なのかそうでないのか分からないのいうのが現状といえます。
こうして過ごしている間にも新型コロナに関しては感染者数、死亡者数が刻々と変化してますしね。
私たちができることは今より確実だと思われている対策をすることだけで、過剰な反応をしないことといえます。
ネガティブ本能
どうしても人間はネガティブな情報のみが印象に残りやすく、報道も性質上そちらに偏る傾向があります。
ご存じの方も多い ベストセラーですが、データを見る視点はとても参考になります。
FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
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ぜひ一度目を通してみて下さい。
ということで次回の勉強ノートから感染や免疫の基礎から感染対策などについて勉強していきたいと思います。