リハビリ勉強ノート23 新型コロナを正しく恐れよう!感染症について2
Kuke11photoさんによる写真ACからの写真
前回からの続きです。
本日は市中肺炎について
元々肺炎とはどのような病気で、どれぐらい怖いのでしょうか?
データから見ていきたいと思います。
市中肺炎の定義
一般には社会生活を営む健常人に発症する肺炎であり、入院48時間以降に発症する院内肺炎や、高齢者などに対する高度医療の結果として生じる医療・介護関連肺炎以外を指します。
少し分かりにくいかもしれませんが、一般に肺炎といっても高齢者の場合、老衰や他の病気の終末期の一部分として肺炎を生じていることも多いため、それらは別の要因として考える必要があります。
そのためそれらを除いたものを市中肺炎といいこれらの中には様々な菌、ウイルスによる要因、例えばインフルエンザウイルス感染に続発する肺炎などを含みます。
もちろん重複感染している可能性もあります。
下図は成人肺炎診療ガイドライン2017からです。
症状
自他覚症状としては、咳嗽、喀痰、胸痛、呼吸困難などの局所症状があり、発熱や全身倦怠感などの全身症状で急性に発症する。ただし、高齢者では症状が顕著でない場合があり、注意が必要です。
重症度分類
A-DROPシステムというものを用います。
1. 男性70歳以上,女性75歳以上
2. BUN 21mg/dL以上または脱水あり
3. SpO2 90%以下(PaO2 60Torr以下)
4. 意識障害
5. 血圧(収縮期)90mmH以下
軽症: 上記5つの指標の何れも満足しないもの
中等症: 上記指標の1つまたは2つを有するもの
重症: 上記指標の3つを有するもの
超重症: 上記指標の4つまたは5つを有するもの
ただし、意識障害、ショックがあれば1項目のみでも超重症とする
これを上の図に当てはめ入院などを決定します。
ここで注意が必要なのはよくニュースなどで用いられるものとは違うということです。
報道で用いられるのは
無症状: 症状がない
軽症: 酸素吸入の必要がない
中等症: 酸素吸入を必要とする
重症: 集中治療室(ICU)での治療を必要とする場合
重篤(重症に含まれる): 生命に著しい危険がある
といった用語になっています。ご注意ください。
死因順位別死亡数・死亡率(人口 10 万対)
平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況からです。
誤嚥性肺炎は除いてありますが、市中肺炎とは定義が違う肺炎の統計です。
年間死亡数94654名となっています。
市中肺炎のみに限定するともう少し少ないと思われます。
ちなみにデータは古いですが、民医連の発表によると「市中肺炎」全死亡率は、集計を始めた2011年9.18%から2012年9.17%、2013年8.93%と9%前後で推移しています。
統計により母数の定義が異なるので単純比較は難しいですが、参考にはなります。
新型コロナウイルスと比較してみる
前回の国立国際医療研究センターの発表によると7/7の時点で死亡率7.7%でした。
毎日新聞発表の8/17発表の速報値では、
感染者数54952名
死亡者数1098名
となっています。
単純計算すると死亡率約2%。
ずいぶん低く感じますが、ここで注意が必要なのは感染者が全員入院しているわけではないので単純比較できません。
国立国際医療研究センターの発表および上述の市中肺炎死亡率も入院患者対象なのでで比較が難しいです。
統計をどう読み解くか
新型コロナ入院患者の中には院内肺炎や医療・介護関連肺炎を含んでいますし、逆に軽症、無症状でも感染対策という名目で社会的に入院されている方もいらっしゃいます。
そうした様々な要因を検討した上でこの数字をどう読み解き、どう行動していくのが大切になります。
もう少し他の感染症との比較や感染や免疫、予防の基本などについてしばらく勉強していきたいと思います。