理学療法士ランナーのラン&ワークブログ

40代子育て中おじさん理学療法士ランナーの練習日誌とサブ4を目指す初心者へのランニングに役立つリハビリの知識を中心とした日常の記録

リハビリ勉強ノート30 新型コロナを正しく恐れよう!感染症について9 ~免疫を整える生活習慣~

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まぽ (S-cait)さんによる写真ACからの写真

 

今回で感染症についてラストです。

免疫をうまく働かせて感染症にかからないための生活習慣について考えていきたいと思います。

 

前回までの記事はこちらから

ptakitaro.hatenablog.com

 

免疫に影響するもの

 免疫を変化させる要因には以下のようなものがあります。

  • 体温
  • 栄養
  • 神経系の働き

これらを一つ一つ見ていきたいと思います。

体温

感染すると免疫の働きを高めるために体温が上昇するように、体温は高いほど免疫が働きやすく、低いほど免疫の働きは低下します。

では生活の中で体温を高く保つためにはどんなことが必要でしょうか?

一つ目は運動です。

 筋肉は体内で最も熱を産生する器官です。

 日本人に比べ、筋肉量の多い欧米人は体温が高いという調査結果もあり、筋肉量は体温に影響します。

 また、運動そのものも免疫細胞の活性を促し、感染症予防効果があるとされていますが、高強度の運動が一時的に免疫機能を低下させることが分かっています。(オープンウインドウ)

 参考までに推奨される運動は、中等度の強度(VO2max50~60%の運動強度もしくはAT程度)の有酸素運動で1日20分から60分程度を週3回以上を長期間継続とされています。

 オープンウインドウでいう高強度は絶対的なものではなく相対的に起こるとされていますので、自分の体力や習慣にあった運動強度の設定が必要です。

 トレーニングによる組織の炎症が影響しているといわれますので、筋トレであれば強い筋肉痛が残らない程度にすることが必要で、体力筋力のある方でも慣れない運動には注意が必要です。

次に衣服や空調による体温調節です。

 体の保温が大事です。

 夏場は空調による冷え過ぎに注意です。

 室温も大切ですが、直接風があたることで体温が奪われるため、実際には室温以上に体が冷えてしまうことがあります。

 また冷気は部屋の下にたまりやすいため、眠るときは冷房の温度を高めに設定しましょう。

 また、感染しやすい気道や免疫細胞の多く集まる腸管の周囲など局所的に冷やさない工夫も必要です。

 冬場はマフラーやネックウォーマーで気道周囲を保温する、腹巻などお腹を冷やさないような工夫をすると良いでしょう。

 マスクもN95マスクでないと病原体を遮断する効果は少ないものの、周囲への飛沫感染予防だけでなく、自分の気道を保湿保温するという点で効果があるといえます。

 

栄養

 免疫細胞の主成分であるタンパク質は非常に重要です。

 免疫機能の低下を防ぐ抗酸化物質主にビタミンも摂取しましょう。

 免疫細胞が多く、常に食物に含まれる病原体にさらされる腸管免疫は重要です。

 発酵食品や乳酸菌などを習慣的に取り入れられると良いでしょう。

 以上からバランスの良い食事が大切で、極端なダイエット、減量など低栄養状態は免疫低下状態となります。

 体温にも関係する部分になりますが、全般で冷たい食品の過剰摂取は控えて、温かい食品の摂取を心がけましょう。

 低栄養とは逆に過栄養も免疫低下につながります。

 糖尿病やそうでなくても急激な血糖値上昇、高血糖状態は毛細血管血流量を低下させ、免疫物質の各種器官への運搬を不良にして易感染状態を引き起こします。

 BMI22程度の適正体重の管理、早食い、大食い、偏食に注意しましょう。

 

神経系

 免疫系には自律神経の働きが大きく影響します。

 自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、バランスよく働くことが重要です。

 交感神経は活動時、副交感神経は休息時に優位に働きます。

 自律神経はサーカディアンリズム(概日リズム:睡眠のリズム)により整えられます。

 簡単にいうと夜更かしや朝いつまでも寝ているのをやめて規則正しい生活リズムで過ごすことが自律神経の働きを調整します。

 睡眠と免疫システムは相互に影響しあっており、免疫異常が睡眠を阻害し、睡眠障害は免疫機能低下を引き起こすといわれています。

 睡眠不足の方は対策を考えましょう。

 また、精神的肉体的ストレスは交感神経を過剰に働かせます。

 交感神経が働き続けることで血管が収縮して血流低下し、血糖値も上昇、体温低下、免疫機能は低下した状態が持続することになります。

 適度な休息、ポジティブシンキングなどでトレスをためすぎないように心がけてください。

 

参考文献

THE LUNG perspectives vol.28 No.1 免疫異常

アンチエイジング医学 vol.14 No.4 交感神経による免疫応答の日内制御

健康づくり2010年6月 運動によるさまざまな免疫変動と意義

免疫力強化大作戦