リハビリ勉強ノート⑮ 暮らしで役立つ心理学1
リハビリを進める上でコミュニケーションは非常に大事な要素です。モチベーション、信頼感など様々な精神的要素によりリハビリの効果が変わってくるからです。
今回から何回かに分けてリハビリや生活の中で役に立つ心理学について紹介していきたいと思います。
1.初頭効果と親近効果
人は見た目が9割という本がヒットしたことがありますが、最初に受けたイメージや情報が強く残ることを初頭効果といいます。
一方で、相手の最終判断の直前の印象が強く残ることを親近効果といいます。
初頭効果は最初の印象をもとに以後の印象を比較するため長期記憶となりやすいこと、親近効果は何かを検討、判断するために、記憶の欠損の少ない直前の情報を元にするので強い印象として残るために起こります。
リハビリで例えると初めて介入する際はより丁寧な接点を持つことが大事であり、最後の終了間際に何か希望を一つ聞いてあげる(ベッドサイドであれば何かものを取ってあげる、カーテンを閉めてあげるなど相手の主観的な判断要素を含むものが良いでしょう)とより良い信頼関係を気付けるのではないでしょうか。
2.ヒグビーの7つの理論
簡単に説明すると記憶するのに必要なコツを7つにまとめたものです。
- 有意味化:意味を理解すると覚えやすい
- 組織化:カテゴリーに分けて覚えるなど
- 連想:代表的なものは語呂合わせ
- 視覚化:言葉などにイメージを結びつける
- 注意:範囲、対象を絞って覚える
- 興味:好きなものに関連付ける
- フィードバック:復習や結果についての知識を与える
勉強や記憶の訓練などこれらのことを意識するとよいでしょう。
3.マジカルナンバー
人間の短期記憶の容量は7±2と考えられています。(最近では4±1という説もあり)
この7は文字や記号の集まりの数です。
7つ以上の単語や数字を一気に覚えるのは難しいということですね。
代表的な例として携帯電話の電話番号は11桁ですが、大体皆さん3桁ー4桁ー4桁の3つの集まりに分けて記憶しているのではないでしょうか?
ヒグビーの理論にもありましたが、カテゴライズして7つ以内にまとめるというのも記憶するための一つのテクニックになります。
4.好意の返報性
相手から好意を受けると、同じだけの好意を返してもらいやすいということです。
当たり前のように感じますが、マーケティングの中でも意識して使われていて、デパートの試食を食べたり、コンビニでトイレを借りたりしたとき何か買わないといけないような意識になるのはこのためです。
好意に加え希少性、権威、コミットメント、一貫性、社会的証明を人を動かすための6つの心理学的原理として提唱されています。
リハビリで例えると途中ではだけた着衣を直したり、汗をふいたりといったちょっとした好意で良いので意識して向けることができると、患者さん、利用者さんがよりリハビリで頑張ろうというモチベーションを上げられるのではないでしょうか。
5.ランチョンテクニック
食事中はセロトニン(詳しい説明はここでは省きます)が分泌され肯定的な反応を引き出しやすいという効果です。
政治家が料亭で食事するのはこのためですね。
理学療法士はあまり食事の場面で介入することはありませんが、患者さん、利用者さんの食事場面にも立ち寄り、姿勢や食事動作を見るだけでなく、会話をして午後からのリハビリへの肯定的な発言を引き出せると良いですね。
本日は以上5項目でした。
ぜひ知識だけでなく実践してみてください。
より興味のある方はよくわかる参考文献です。